ノミやダニの忌避剤は毒であり薬である

私はこの動物業界に薬剤師として身をおいてすでに20年以上が経過しています。昔に比べて少しは良くなったと思うところもあれば、改善の必要なところも多々あります。そこで今回は、私の気になるノミやダニの忌避剤の事を書こうかと思います。

ノミやダニの忌避剤

ノミやダニの忌避剤(予防薬)で被毛が抜けてしまったとか、皮膚にかゆみがでたなど、このような経験をされている方はいらっしゃるかもしれません。

最近はマダニの問題もあり予防薬を使われる方も多いかと思います。病院で投与が必要だと言われたり、症状が出ても当たり前だと言われるケースも多いみたいです。

これは一応、副作用の一種ではありますが、このような症状が出てしまうと、医薬品の効能効果を再度審査する必要がでてきてしまったり、病院も報告する義務があるので、症状が軽い場合には、副作用とは考えないこともあります。

忌避剤の中身

ゴキブリが食べて巣に戻ると周りのゴキブリも死滅する、という商品と同じものを使用しています。これはドラッグストアや薬局などで販売されていることからもおわかりのように、人間が扱う薬としての法律から注意書きが書かれます。「手についた場合にはすぐに手洗いをする、取り扱い注意」です。

しかし、ペット用医薬品となったらこれは「安全です」となるのです。人間なら手についてもすぐに洗い落とさなければならない医薬品を、体の中にしみこませるという行為自体が、私は信じられませんでした。同じ薬品成分でもこの差があるのです。ではなぜこのような差があるのでしょうか。

ペット用の医薬品は農林水産省の管轄

人間用のお薬は厚生労働省が扱います。しかしペット用の医薬品は農林水産省の管轄となります。法律も違えばその薬品成分に対する扱いも違います。私たちの命は当然、「人」としての扱いですが、ペットの場合はご存じのように、私たちと同じ命であるのに「物」なのです。

これだけ命に差があるので、同じ薬品成分のもので、それがいかに危険であっても器物破損にしかならないペットには「安全」となってしまうのです。

忌避剤を服用

最近のノミダニの忌避剤で服用するタイプのものが出てきました。私には本当に衝撃でした。昔、やはり同じような薬でノミだけですが、繁殖させないという薬がありました(今現在も存在しますが)。これは画期的だとよく販売されていましたが、堕胎作用があるという事実がわかっていませんでした。

おかげで服用し続けた子は、何度妊娠しても堕胎してしまうのです。たとえなんとか生まれても大きな障害をもって生まれてきてしまい、短い命しか生きられない子が多かったです。そういうこともペット用医薬品であるがゆえに、人間用よりも副作用情報は乏しく、また規制も厳しくありません。

もちろんすべてのペット用医薬品がこのようなものばかりではありません。きちんと病気に向き合って考えられた製品も数多くあるのは確かです。しかし、最近では「簡単」ということだけで、安全からかけ離れた薬もあります。

山奥ならまだしも、東京のような都会では、外をお散歩しなくなった子も多くなりました。生活スタイルにあわせて使用する医薬品も変化させていかなければならないと私は思っています。方法はひとつではありません。薬という物は毒にもなるのです。

ペット用医薬品といわれているものに何が使われていて、どのようなものなのか、家族であるのであれば、きちんと調べ、考えてから使用し、様子を見ていってほしいと思います。

動物の薬剤師 黒田さおり

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