今回は療法食ならぬ、「療養食」について書いてみました。私たちが入院すると、病院食というものを食べます。内臓の疾患や、怪我、感染症など、様々な症状や段階に合わせて、栄養士さんの指導の下で食事をすることになります。
病院食=療法食
最近はホームセンターなどでもみかけるようになりましたが、本来療法食は、獣医さんの指導の下、管理・販売・使用する食餌(食事)です。継続するのか、ほかのフードに変更するのかは、その疾患の経過によって異なりますから、獣医さんから許可をもらうことによって変更していくというのが基本になります。そこできちんと指導されて療養をすることによって、より健康な体に近づいていけると思うのです。
ペットの療法食に付きまとう問題
病気になったペットが目に見えて疾患が治癒していくというのはごくまれで、ペットフードのお値段や嗜好性を考えた結果、療法食から他のフードに変えてしまったり、継続を余儀なくされている場合があるかと思われます。
ペットフードを少しでも安く買うためにホームセンターで療法食を購入したりと、ペットの病気の治癒以外のところでオーナーさんを圧迫する問題が出てきてしまっています。そのため、本来売っていないはずの療法食がホームセンターなどに並ぶという結果となっています。(これはペット業界全体が歪んできている現状ではないでしょうか・・・)
そんな時に思ったのが「療養食」
その昔、療法食というのは、病気の時に食べさせるための特別食でした。それが呼び名として処方食といわれるようになり、様々な過程を経て、今は療法食といわれています。そのときの話を思い出して、またいろいろなフードと出会ううちに、
「療法食ではなく、病気が回復に向かう過程で、必要な栄養分をしっかりと補給できるフードないかな。それこそが療養食であり、本当のプレミアムフードだ。」
と、思ったのです。そこで初めて療養食という言葉がでてきたのです。
一般的にプレミアムフードというのは、原材料や成長するために必要な栄養価に対してよく考えられています。種類も豊富で、中には病気で弱ってしまった体を元に戻すために考えられたものもすでにあります。
それでも原材料や製法が気になるものが多く、お店に並んでいるフードからひとつを選択するのは本当に難しいことだと思います。
食事をするだけで健康体に近づけ、また、維持することができたらこんなすばらしいことはありません。治療が終わってやっと普通に食べられるようになり、おいしい食事をあげられて、健康に近づいていると実感できたらオーナーさんにとっても、安心できるのではないでしょうか。
私はそんな気持ちで、今後、みなさんや獣医さんに療養食となりえるような製品をご案内し、ペットの幸せな時間が少しでも増えるように努力していきたいと思います。
動物の薬剤師 黒田さおり